例年、五月の連休を過ぎるとドーンと蕎麦粉の質が落ちる。
今年の場合、去年の不作のため、中国産の粉を相当量混ぜてあるそうである。
そのせいか、ドドーンと落ちた。
食べても旨くない。特有の甘味もない。
コシもない。ただ固いだけのような蕎麦だ。
では、国内産を使えばいいじゃないか、というと
そう単純なことではすまない。
少し古い数字だが、国内消費量12万トン、うち国内生産量2万トンである。
しかし、国内産として流通している蕎麦粉は4〜5万トンと言われている。
そうとう力のある蕎麦屋でないと、良質の粉を求めるのは困難だ。
ここ一月あまり、思いつく限りのことを試してみた。
加水率、練り具合、その他。
やってみて、思い当たった。
この蕎麦粉は水分含有率が低いのではないか。
いわゆる「風邪をひいている」というやつだ。
何年か前、県内の某地で新蕎麦祭りをやった時の裏話がある。
東京の有名蕎麦店の名人と言われる人が呼ばれて、その技を披露することになった。
地元の人間がその時、悪戯をしたのである。
蕎麦粉にわざわざ「風邪をひかせ」たのである。
名人、一度でつながらず、「あれ?」と言いながら、二度三度とやったそうである。
それを地元の人間がくすくす笑ってみていたというのだ。
気分の良い話ではないが、そのことを思い出した。
「風邪をひいた」蕎麦粉は元にはもどらない。
まりりんもんろーノーリターンなのである。
とはいえ、明日もまた蕎麦をつくらねばならない。
それでなくとも
気難しい、愛想がない、きぶくさい、と言われている
小生が、ますますそうなってしまうでないの。ねぇ。