今年の4月に単なる思い付きで「松川事件」の現場へと行き、慰霊碑等の施設物を
見て回ってきた。
地元にいながら、この全国的にも有名な事件にあまり関心は無かった。
事実認定に関わる資料の膨大さを聞いただけで、頭だけでも突っ込みたくなかったのだ。
ただ、現場には行ってみたいとだけは思っていた。
起訴された20名の人たちは全員無罪を勝ち取ったが、犯人は最低でも数名存在する。
その現場に立ってみたい、それだけだった。

近所に「物知り」で知られた御老体がいる。
その御老体に事件の現場まで行ってきたことを話題にしたら、意外な事実を聞かされた。
小生の所属した消防団の前分団長の奥さんが、事件で死亡した機関士の遺児だというのだ。
だから毎年8月には事件現場の慰霊碑までお参りに行くという。
そしてもう一つ、途中で証言を変えた木村証人という人がいるが、何と知っている人だった。
この方は昨年お亡くなりになったが、お店にも来てくれていた。
御老体はこの木村証人を「素晴らしく度胸の良い漢だった」と表現した。
彼は松本清張の「日本の黒い霧」にも登場する。
そして、広津和郎の講演録の中では「奇怪な人物なのです」などと表されている。
小生としては、多少人を喰っているところがある人だが、面白い人だな、と思っていた。

事件とは全く無縁だと思っていたのだが、関係する人達が身近にいたのに驚かされる。
そういえば、亡き父から叔父が取り調べを受けたと聞いたことがある。
叔父の家の本棚には資本論と共産党宣言がセンターに鎮座していた。
どのくらい活動していたのか知らないが、抑圧の対象だったのだろう。
その叔父も今年で85歳になる。
松川事件の発生から今年で63年の月日が流れた。
posted by 山口屋散人 at 17:45|
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