2006年02月12日

無題

その男は笑えない「笑うセールスマン」のような格好で現れた。
「○○君の同級生の○△です」と名乗ったらしい。
怪訝な顔つきの女房に代わって店に出ると、
果たして同級生であった。と言っても高校の一年生の時のである。

その男は小生の顔を見るとニィーと笑った。
見ると前歯が何本か欠けている。
生活の乱れがそうさせたように不自然な肥え方もしている。

店に誰もいなくなったので、仕方なく雑談を付き合う。
旧国立一期校を卒業した彼の用件は驚くべきことだった。
彼は一枚のプリペイドカードを持っていた。額面は500円である。
100円は既に使ってしまったが、まだ400円分残っているそうで
これを現金に換えてくれないか、というものだった。
きょうは現金の持ち合わせがないので、これで馬券を買いたい、
ということらしい。

笑いながら強い意志表示で拒否すると、ではこれで何か
食わせてくれ、と言う。
カードを使えるお店で堂々と使ったら、と拒否して、帰ってもらった。

彼が帰った後、ドォーと気が滅入った。
けっして彼が敗者で小生が勝者なのではない。
彼の部分は小生の部分でもあるのだ。

やりきれなさを引きずって日曜日を迎えると、
もう一つ、驚かされる事実が待っていた。

朝食をとりながら新聞を読んでいると、昨日朝に火災があり、
一人亡くなっている。
記憶に残っているその名にびっくりした。
「盆地のタクシードライバー、あづま・エビス」さんなのだ。
あのエビスさんが!! 絶句・・
posted by 山口屋散人 at 19:22| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
えっ!あづまエビスさんが?
まさか・・・
Posted by まるみや at 2006年02月12日 19:42
エッ!!本当ですか?
消火活動での事故でしょうか?
信じられない。
Posted by 長谷川 at 2006年02月12日 22:56
突然の悲報で、悲しみの想いは計り知れないものではないかと拝察いたします。
私は直接お会いしたことがありませんけれども、散人さんのHP経由でアクセスさせていただき、発信されている貴重な故郷の情報に接することができました。
この場をお借りしまして、心より御冥福をお祈り申し上げます。
寅パパ
Posted by 寅パパ at 2006年02月13日 20:47
以前氏の発刊された著書を商店会長から借りて読んだことがありました。印象に残っているのは、高校生時代のサイクリングの記載がとてもおもしろかったです。
あらためて氏のHPを訪れ、エッセイなどを読んでみましたが、文章力に敬服しました。更新する人がいなくなったHPの掲示板にお悔やみの言葉がでていました。

ご冥福を祈ります。合掌

ps.
チケットありがとうございました。
Posted by ヒゲとはさみ at 2006年02月14日 09:34
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