


このところズ〜ッとこの本にかかりきりだった。
酒を飲みながらの楽しみとしての読書であったので、ひどい時には3ページしか進まない。
2週間ほどかかったが、めでたく読了。
「民報マイブック」いわゆる自費出版の物だ。
図書館に行くと、郷土関連のコーナーにあるのは知ってはいたのだ。
ぺらぺらとめくってみたことはあるが、400ページを越える分量である。
よほど面白くなければ読了できるものではない。
よくある「自分史」のように、書いた本人だけ大満足なのだが、周囲は大迷惑という類
ではないかという先入観があった。
題名にしても「西根堰物語」は良いが、副題の「紅葉散る李平の悲歌」というのが自己陶
酔型のそれではないかという気がしていたのだ。
ネットオークションで、偶然この本を見つけた。
西根堰に関しては知識も増えてきたが、何か他に得るものがあるかも知れないと落札購入。
職業作家と比較しては失礼ながら、構成や会話部分に若干の違和感がある。
しかし、読み進むに従って稲村彦衛という著作者の確固とした深い知識と識見に
驚きと敬意を抱くようになってきた。
生半可の人の力量ではない。
この稲村彦衛氏をネットで検索してみると、出てくるのはこの位のものである。


どうも理系の方であるようだ。
生年は昭和6年とのことであるので、今年で満81歳になられる。
稲村彦衛氏の他の著作は見当たらない。
生涯に一冊の良書を、ひっそりと残す・・この著者の哲学かも知れない。