2007年12月09日

二月の猪苗代湖

DSCF1019-tri-moto.jpg

家人がガサゴゾ片付け物をしていたら、出て来た。
30年近く前のある研修会の集合写真だ。
ヨークベニマルに勤めている人は、鉢巻きを見て、あれだな、
と直ぐ気づくだろう。この写真の半数近くはベニマルの社員が
しめているはずである。
これはその当時、各企業から(悪いクジに当たって?)強制的に
この研修に参加させられた人々なのである。
2泊3日の研修であったと思う。
研修の内容はお遊戯したり、大声を出したり、そんなことをしたが
よく覚えていない。というより、強烈なる体験が一つあり、それに
比べれば、あとのことは語るに足らないといった按配なのである。

     猫

文部省の認可公益法人で、「修養団」というものがある。
設立は明治時代に遡り、創立者は蓮沼門三といって、わが福島
県の喜多方出身の人だ。
つい最近、百周年記念大会で天皇陛下も出席したとのことだから
それ相当の団体であることは間違いない。
特定の宗教や思想の普及を目指すものではなく、健全なる社会を
構築するための社会教育団体という位置づけである。
そのスローガンは
「愛なき人生は暗黒なり、汗なき社会は堕落なり」
略して「愛と汗」の実践。
将に言いえて妙、現代に不足しているものばかりである。
この研修会はその団体の主催だった。

     犬

強烈なる体験、というのは、厳寒の2月だというのに猪苗代湖に
ポチャしてきたのである。
つまり、ドッポ〜ンとはまってきたのである。
湖畔で「フリタマ、フリタマ(振魂、魂をふるいたたせると
いう意)」と気合をかけながら湖水に入って行き、腰まで浸
かったところから号令一下、胸までポチャするのだ。

もちろん、周到なる準備体操をして入ることになる。
オール漕ぎのような体操を十分にやり、両手のひらを組んで、
フリタマフリタマと唱えながら上下に動かすのである。
これを「振動凝念法」と言うらしい。
この体に単純運動をさせながら一心に何かを唱えるというのは、
他に応用が利く。否応無く体に覚えさせるのには、効果がある。
枕を起きる時間の数だけ叩いてから寝るなどというのは、その簡便
なる応用である。

男は海パン、女子はワンピース水着なのだが、講師は越中ふんどし
だった。小生ともう一人の同僚は、どうせならとやけのやんぱち、
六尺ふんどしをわざわざ用意してそれを着用した。30年前とはいえ、
さすがに我々二人だけだった。(当然か?)

     犬

研修会の前には様々なうわさが飛び交った。
いわく、去年の研修では一人心臓麻痺で死んだそうだ。等々。
当日、体調不良のため、入らなかった講習生もいる。
そりゃ当然である。サウナから出て、冷水に入るのとはわけ
が違う。

     猫

当日は粉雪がはらはらと舞うような天気だった。
研修会場にバスのお迎えが来て、湖南町の湖畔まで連れて
いかれた。およそ20分くらいだったろうか。
バスの中の「往き」の様子はよく覚えていない。
が、還りのバスでは皆、ガタガタと震えながらも、大仕事を終え
たような安堵感からにこやかに談笑していた記憶がある。
そして、その晩の集合写真がこれなのである。
といっても皆、とがった表情をしている。
小生など、こうして見ると狐つきみたいになっている。

DSCF1019-tri.jpg

猪苗代湖の水は重かった。
ドッポ〜ンと肩まで入った時、寒いとか冷たいとかではなく
何かに急激に胴体を締め付けられたような感覚で、呼吸が
出来なくなった。フリタマと呼号するどころではない。
「うっう」と唸るのが精一杯。「立ち上がれ」の号令が何で
あったか記憶が無いが、もう駄目だ、と観念したのと同時で
あった。あと一瞬遅ければ、自分で立ち上がっていただろう
から、試験であれば失格か不合格というところだった。

     犬

つい、長い文章になってしまった。
この写真で思い出すことがもう一つある。
ランダムに小さなグループに分けられたのだが、同じグルー
プに「専務の命令でイヤイヤ来ました」という、後で分かっ
たのだが、当人が社長だったという面白い方がいた。
その会社はその後、株式を上場することになる。
奇特な体験を共有したせいか、生来のフレンドリーな性格のた
めか「また会おう、遊びに来い」と言われていたのだが、その
機会には恵まれなかった。
残念ながら、数年前、その会社は支社の出した大負債のために
存続できなくなってしまった。
そういう意味でも、長い30年であり、ちょっと前の30年でもある。


posted by 山口屋散人 at 04:16| Comment(4) | TrackBack(0) | 雑事 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私は三重県までいきました。
今思えば、あれはいったいなんだったのか?
まったく分かりません。。
Posted by あ〜 at 2007年12月11日 20:37
今、ふっと思ったのは、小生の場合、真冬でしたが、夏場の研修はどうするのかな、ということでした。伊勢神宮の近くでは、どうするのでしょうね。
Posted by 散人 at 2007年12月12日 01:16
かなり前の記憶ですが、早朝からの境内の掃き掃除に始まり、座禅、昼間は各地から集まった仲間達との創作劇という具合でした。今思えば超一流企業からの参加者も多くいて、そういう人達は取り組み方が違ってましたね。
いかにバカになれるかがポイントでしょうか。
私の様に、疑念をもって参加していた人間はついていけませんでした。
Posted by あ〜 at 2007年12月12日 20:54
何となく他のことも思い出してきました。
創作劇・・そういえば、小生が台本を書いたっけ、とか。
売店が閉鎖され煙草が買えず往生したとか。
私の時の研修は、皆、猪苗代湖のポチャをどうしようかと
戦々恐々としていた初心者ばかりで助かったのかも、ですね。
Posted by 散人 at 2007年12月12日 22:50
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